「おい、起きろ。《
「やーだー《
声をかけた先にはベッドで未だに惰眠をむさぼるの姿。
彼女は声をかけられると毛布を引っ張って頭まですっぽりと隠した。
「・・・・《
そんな彼女の毛布を流川は無言で引きはがす。
「ぎゃー!《
「起きろ。《
ぽいっと毛布を落として立ち上がると、勝手にクローゼットを開けてブラウスとスカート。キャミソールまで我が物顔で引っ張り出してベッドに投げた。
「飯、出来てる。さっさと着替えろって。《
「うぅ・・・横暴ー《
そう言いながらももぞもぞと起き上がり始めたのを見届けて、流川は部屋を出た。
所謂押し掛け女房というヤツだろうか。
幼馴染みシリーズ
「もうすっかり大丈夫みたいね。《
いつものように流川と共に教室に入って来たを見て、美咲はの足を指差しながら言った。
「いやぁ、お陰さまで。ちょー元気!《
「だからって無理はしないように・・・って言わなくても流川君がさせてくれないわよね。《
苦笑しながら流川を見て言うと、流川はぷいっとそっぽを向いて自分の席に行ってしまった。
「そういえば、、部活はバスケ部のマネージャーになってるみたいだけど、今日から行くの?《
そう言われては「へ?《と驚いたように美咲を見て、美咲もそれを受けてきょとんとし、その話を聞いていた流川は肩をぴくりと動かした。
「何それ。《
と言いながら流川を見ると、ちょうどそろりとの方を向いた流川と目が合う。
「楓ー!《
「・・・《
は流川の席に駆け寄ると、「どういうこと?《と問いつめるように見る。
やれやれ、というふうに見ていた美咲は二人を仲裁しようとゆっくりと向かう。
「やればいーじゃねーか。一人で帰るの危ねーし。《
「成る程。流川くんはが一人で帰るのは危ないけど、待たせるのもどうかと思うからマネージャーをやらせて一緒に帰ろうと思った訳ね。《
流川は美咲の解説にこくんと頷いた。
「えー、でも・・・・《
は上朊そうに美咲を見る。
「どうしたのよ。《
「たまには美咲と一緒に遊んで帰りたいし・・・《
「あー、私弓道部に入ったからちょっと厳しいかな~《
「えー!聞いてないッ!《
「当たり前でしょ。話してないんだもの。《
「何で教えてくれなかったのー、薄情ものー!《
「土日にデートしましょ。ね?《
と、ぽんぽんと頭を撫でられて、はぶーたれたまま頷いた。
「ってことで、あんた危なっかしいし、流川くんと部活行って、そのまま一緒に帰って貰いなさい。《
「そーして貰え。《
「・・・美咲に言われるのは良いけど、楓に言われるのは何かヤダ・・・《
という塩梅で。
「どうも、マネージャーになったです。よろしくお願いします。《
そう言って頭を下げたのは、その日の放課後。
すっかり顔なじみになったメンツはがいることに既に違和感を感じていない。
「これでやっと正式にをこき使えるのね。《
「彩子せんぱい、お手柔らかにお願いします。《
「だーいじょうぶ!中学の時もしょっちゅう手伝ってくれてたでしょ?ほら、早速手伝ってもらうわよー!《
ほらほら!と連れて行く彩子にの姿はすぐに倉庫の中へと消えてしまって、赤木は咳払い一つすると、練習を開始した。
練習後、コートのモップかけが終わったはやっと終わった。と、モップに寄りかかった。
「う、わぁっ!《
しかし、それを邪魔するのはやはり流川で、彼はの寄りかかっていたモップを足でずらして取り上げた。
「さっさと片して帰るぞ。《
「分かってるよー。あ、彩子さん。そっちOKですか?《
「大丈夫よ~!さ、流川の言う通りさっさと帰っちゃいましょ!《
彩子もすっかり道具を片付け終えていて、更衣室へと入って行く。
「じゃぁ、楓も早く着替えて来るんだよー!《
そう言ってはその彩子を追いかけた。
「しっかし、相変わらず仲良いわよね。《
「私と楓ですか?《
更衣室の扉を閉めて、着替えながら言葉を交わす。
「他に誰がいるのよ。《
「うーん、まぁ楓とはずっと一緒にいるし、家族というか弟みたいなものというか・・・・《
(・・・どっちかっていうと、流川の方がお兄ちゃんというか、母親みたいだけど)
「彩子先輩、何か失礼なこと考えました?《
「え?そんなこと無いわよ。それよりも早く着替えないと。流川が待ってるわよ。《
「大丈夫です。待つのには慣れてるんで。《
(・・・これ、きっと惚気じゃなくて、真剣に言ってるのよね・・・)
うぅん、こういうタイプがある意味一番恐い。と心の中で呟いた。
「彩子先輩こそ、宮城先輩待ってるんじゃないですか?《
「あー・・・多分そうだと思うけど《
すっかり忘れていた。
とは言っても、待ち合わせをしている訳ではないのだが。
「よっし。《
ばたん、とロッカーを閉めて荷物を持って。
「じゃぁお先失礼しまーす。《
「また明日ね。《
それに笑顔で返しては更衣室を出た。
そこには勿論流川と、そして宮城がいて、頭を下げる。
「彩子先輩ならもう出て来ると思いますよ。《
「おう。ありがとな。気をつけて帰れよー。《
「お疲れさまです。《
そう言ってもう一度頭を下げたの鞄を取ったのは流川だ。
「ありがと。《
「早く帰るぞ。腹減った。《
「今日のご飯何かな・・・あ、ハヤシライスだって。半熟卵乗っけてもらお。《
「いらねーし。《
「いるよ!《
「・・・おこさま《
「楓ー!!!《
遠ざかる声を聞きながら、既に更衣室から出て来ていた彩子と宮城は笑う。
「あれで付き合ってないんだから上思議よねぇ・・・《
「俺と彩ちゃんみたいなもん?《
「・・・・馬鹿じゃない?《
「彩ちゃん!!!《
何だかんだ言ってこの二組、似ているのかもしれない。
似た者同士