5歳の時、父母がこの世を去り、1歳の従姉妹のいる家に引き取られて半年程経った頃。
はアカデミーに入学した。
当然、当時の情勢やの父母が戦死したこともあり周囲は反対をしたがの意思は固かった。
独学で忍術を学んでいるとは言っても、この世界に生き残る為にはこの世界での戦い方を学ばなければいけ無い。
それが早ければ早い程良いとなると、アカデミーに入るしかない。
ということで、そこそこの意思と期待を持ってアカデミーに入ったものの、最初の数ヶ月間は拍子抜けも良いところだった。
(よくよく考えれば6歳だものね)
身体も出来上がってい無い、チャクラの扱い方も全く知ら無い状態の子供にやらせる事といえば高が知れている。
とはいえ、このまま甘んじて同学年の中でのんびり過ごすつもりなど全く無かった。第三次忍界大戦が集結したとは言え、未だ不安定な状況が続いている中、ちんたらしているつもりは無いのだ。
飛び級制度もあることだしさっさと上がってしまおうとバカバカしいと内心思いながらもは勤めて真面目に授業に取り組んだ。
一応男女で実技のクラスは分かれていたものの、アカデミーに入学して数週間では全ての授業をくノ一クラスから男子のクラスへ移動となった。
「はじめ!」
組手の開始を指示する教師の声には地面を蹴った。
勿論、唯の組手。念も忍術(チャクラ)も使わない組手は、念使いである故に若干身体の成長がゆっくりであるにとって不利だが、は負けた事が無かった。
(まだ全然筋力が足りない)
記憶の中にある自分と、今の自分の力もスピードも反応も全てが劣る。それでもすぐに決着が着くと高をくくっていた。
相手の拳を躱して相手の鳩尾に足の甲が当たろうとするも、反対の手で足首を掴まれて身体を捻らせながら反対の足で掴む手を蹴り落とす。
も、相手も驚いたように目を見張った。
お互いに一撃で一本取れ無かったのは初めての事だった。
結局、この日は制限時間内に決着がつかず、止める教師の声には愕然としたように息を吐き出した。
5分の組手だったから良かったものの、これから組手の時間は伸びていくだろう。
体力的にはこの拮抗する状況下でこれ以上長引けば負けるとは直感的に感じ取った。
同年代でこんな人がいるとは、と純粋には目の前の少年に興味を持った。
「、そろそろ次の授業に行こう。」
興味を持ったのは向こうも同じだったようで、それ以来何かと少年、うちはイタチはに構うようになった。
さらに、授業ではとイタチの2人が頭1つも2つ分も出ている為自然と毎回組まされる。2人が親しくなるのに時間はかからなかった。
「んー、もうちょっと。」
読んでいる本が良いところなのか、食後屋上でフェンスに背を預けたまま立ち上がる気配はない。
まだ親しくなる前、はたまに授業に遅れてくる事があったがこれが原因だったのかとイタチはため息をついて本を取り上げた。
「遅刻するぞ。」
「そうね。私は良いからイタチ先行きなさいよ。」
そう言いながら本を取り返そうと手を伸ばすと、その手をとって立ち上がるように引っ張られる。
他の同学年の子と話すよりはまともな受け答えをしてくれるイタチと話すのは苦痛ではないが、世話を焼きすぎるのはいけない。
眉を寄せるものの、そのまま手を引かれれば仕方なく教室に向かう。
「はいつも難しい本を読んでるんだな。」
しぶしぶ教室に向かうに本を手渡しながら言う。
「・・必要だから。」
母親が医療忍者だったため、いくらか彼女から教えてもらった事はあったが絶対的に知識が足りない。それを補うかのように彼女は本を読む。
「医療忍術は使えて損はないと思うの。任務での怪我も応急処置の質によって後遺症が残るかとか、もっと酷ければ生死が分かれる。応急処置ができる程度にはなっておきたいの。」
「・・・は、難しい事を考えているんだな。」
「イタチだって今の自分に必要なものをちゃんと考えて身に付けていってるじゃない。同じよ。」
言われてイタチは驚いたような顔をした。
「火遁の修行をしているところをこの前見かけたの。この年で忍術を使える人なんて中々いないと思うけど。」
「できそうな物から手をつけてるだけさ。」
「やっぱり私と変わらないじゃない。」
そう言っては面白そうに笑った。
その表情に呆気にとられているといつの間にか教室にたどり着いたようだ。
「座学の後は体術だな。」
「イタチと組むと疲れるのよね・・しかも中々勝てないし。」
どうせ組むのはイタチとだ。カリキュラムの中にはグループを作って白兵戦もあるらしいがまだまだ先になるだろう。
本当にうんざりしたようにが言うのでイタチは苦笑した。今の所とイタチの組手は引き分け(時間切れ)かイタチの勝利で終わっている。
何度か勝てた事はあったがそれは最初の方だけだった。
「やっぱり体力よね。筋肉が付きづらいって損。」
念やチャクラで補強しなければ純粋な筋力がものを言う。一応トレーニングはしているが筋肉が付き辛いのかどうか、は思うように筋力がつかない事に落胆していた。
「十分だと思うが・・・。」
「イタチに言われても嫌味にしか聞こえない。」
つんと顔をそらしながら自分の席に腰をおろす。大人気ないとは分かりながらもこういった態度を取ってしまうのは心を許しているからか。
「そうか?」
「そうよ。」
思案するようにを見ながら、イタチも席に着いた。