「それにしてもさ、佐為、ヒカル君の教育ちょっと間違えたんじゃない?」


家に辿り着いて、なんと、ヒカルは家へと上がり込んで来た。
どうやら鉄男に会いたくなったらしい。
それを止めようと、アキラも結局家に上がる事になり、機嫌の悪い鉄男と対面。

ちょっとした一騒動があった後の話しだ。


『いえ、ですから、ヒカルも根は・・・』
「佐為」


擁護しようとする佐為の言葉を遮る。


「根は良くてもね、人は第一印象で判断するんだから。」


詰まる所、自分のヒカルに対する印象は頗る悪いぞ、という意思表明ということだ。














時を超えて #17

















何故、自分が好き好んでも居ないヒカルと仲良くメールしなければいけないのだ、とは心の中で悪態をつきながらヒカルへメールを打っていた。
内容はまた一週間後、アキラの家で打とうというメールの返信だ。


「・・・だってよ、佐為。」


彼から来た文面を佐為に見せると、彼はそれはもう嬉しそうに笑った。
は佐為のこの顔に弱い。だから結局ヒカルと連絡を取り続ける羽目になるのだ。


(何で、私、こんなにヒカル君のこと気に食わないんだろう)


その問いかけに、やっぱり第一印象が最悪だったのと、その後の態度が気に食わないからだ、と自分の中から即座に回答が帰って来たが、其れ以外に引っかかる何かには眉を寄せた。


「・・・そうだ、誰かに似てるんだ。」


でも、誰だろうか。
自然と眉と眉の間に皺が寄る。







「あぁ、アンタがあの化け物を退治するおっかねぇ女か・・・。まぁ、よろしくな。」







は、はっと思い出したそのフレーズに、「あ」と声を出した。
アレだ。
昔、見合いをした中で二番目にムカついた奴だ。


『どうしたんですか?さん。』


突然声をあげたに、佐為がその視線を向ける。
は佐為と視線があって、何と言うべきか少しの間迷って、言うのをやめた。


「あ、いや、何でも無いよ。」
『?』


昔の話し過ぎて、相手の名前も覚えていない。顔と雰囲気を覚えていただけで奇蹟だ。
佐為なんてもっと覚えているか怪しい。説明するのも面倒臭い。そもそも佐為が昔、彼を知っていたかだなんて分からないのに。


(初対面の場で失礼なことを言うのは、ホント、本質的に変わって無いっていうか何て言うか)


昔対面した時は、2つ程、向こうが上だった。それにも関わらず、心の中で、この糞餓鬼が、と悪態をついたのを今でもはっきり思い出せる。


嗚呼、何だか苛々してきた。とむっと眉を寄せた時、手の中の携帯が震えた。


「・・はい。」
ー?今どこ?もしかして、まだ家?』


そう言われて、は時計を見て、固まった。


「・・・・」
『あ、家なんだ!家なんでしょ!!ねぇー、あっちゃん、、やっぱりまだ家みたいだよー。』
『えぇ?もう、寒いとほんと、コレなんだから・・・。』


返す言葉が無い。


ー、早く来ないと、あっちゃんが切れちゃうからね。』
「・・うん、すぐ行く。」


直ぐに携帯を切って立ち上がった。























遅刻したのも、何もかも、奴のせいだ、と心の中でぶつぶつ文句を言いながら待ち合わせ場所に向かう。
そこには呆れた顔で立っている長身で髪の短い女性と、逆に背の低いふわふわとした髪が波打つ女性(天然パーマだ、と言い張っているが、完全に校則違反だ)。


ちゃん、おそーい!」


顔を見るなり、そう言われて、は頬を掻いた。


「最近付き合い悪い上に遅刻、ねぇ?」


更に突っ込まれて、返す言葉が無い。
何か話しを変えないと、と話題を探す。


「あ、今日は良い天気だね。」


結局、明らかに話題をそらすようなコメントに、2人は苦笑しながら頷いた。












閑話(ワースト2)