はくぁ、と欠伸を一つしてソファに深く身を預けた。
それは正面に腰掛ける雲雀も同じで、彼も欠伸をしている。


「聞いてるんですか、二人とも・・・。」


はぁ、と項垂れるのは一人立っているツナで、二人は同時に首を横に振った。


「ですよね・・ハハ・・」


ボス、それで良いのか!?と言いたくもなるが、仕方が無い。
なんせ相手はエースの雲雀に、人外の
二人とも極度の面倒くさがりやに加え、人の話を聞かないときた。















無法地帯からこんにちはシリーズ 第4弾

















とにかく、許可無しで二人で試合するのは禁止です!と声を張り上げたツナは隣の書斎に引っ込んでしまった。


「ですって。」
「まぁ、どっちにしろ僕は傷が塞がるまで君とは戦わないつもりだったけど、塞がったら・・・」
「でも、訓練所借りさせてくれないみたいですよ?」


ふ、とそれに雲雀は笑った。


「そんなの、力ずくでどうにかすれば済む話さ。」


そりゃそうだ。とはふふふ、と笑い、立ち上がった。


「では、私はこれからイタ語のお勉強とやらがあるみたいなので。」
「へぇ・・・誰に習うの。」


は問われて笑みを濃くした。
それは彼女の不機嫌さを表している。


「変態パイナポーですよ。」


へぇ・・と雲雀は気に食わないというような笑みを浮かべて立ち上がった。


「それは・・僕も一緒に行ってあげるよ。」
「あら、良いんですか?お仕事があると聞いてますけど。」
「そんなの、関係ないね。」


は知らない。
ボンゴレの人々が雲雀と骸をかち合わせないように様々な気を遣っていたことを。


「・・っていうか、君、丸腰だよね。今。」
「えぇ、ベルが実体化している間は刀はベルの元にありますから。」
「ふぅん・・・じゃぁ、これ貸してあげるよ。」


そう言って手渡されたのは、勿論トンファー。


「ああいう変態が此処には普通に存在するから、今度何か買ったら。」
「そうですね。では、これは今日一日お借りしておきます。」


うふふ、と笑って二人は部屋を出ての部屋へと向かった。








己の部屋に辿り着いた所で、は首を傾げた。


「何。」


眉を寄せて雲雀が見下ろして来るのでそれを見上げては不快そうに言った。


「いえ、鍵はしっかりとかけていった筈なのに、既にあのナッポーがいるみたいで・・・。」
「へぇ・・・変態の上に不法侵入。社会的に抹殺しておいた方が世のためだね。」
「えぇ、本当に。」


そう言いながらはドアを開いた。
すると、両手を広げて駆け寄って来る変態。


雲雀はの腕を引いてドアから下がらせると、勢い良くドアを閉めた。


「ふべっ!!」


という何とも情けない声がくぐもって聞こえて来たがそれは無視する。


「・・・僕が見てあげるよ、イタ語。」
「・・・えぇ、そうして頂けるととても助かります。」


じゃ、行こっか。と背を向けた時ドアが開いてヤツが飛び出して来た。


「うわぁ・・・雲雀くん、ゴキブリが飛び出してきましたよ。」
「ワォ、それは大変だね。」


ちゃき、と二人はトンファーを手に持つ。


「何なんですか、二人とも僕のことをゴキブリ扱いして!!」


ぷんすか、と怒っているがきもい。


「あぁ、そんなことよりさん、今日もお美しいですね。さぁ、今から僕とお勉強ですよ。手取り足取りナニ取り・・・何でも教えて・・・」
「黙ったら。」


雲雀がトンファーで殴り掛かるが、そこは腐っても守護者。そう。たとえ腐れ変態ナッポーでも守護者。
三尖槍でトンファーを防ぐと骸は不快そうに雲雀を見た。


「何ですか。雲雀恭弥。僕は今さんと話をしているんです。」
は話したく無いって。」
「そんなことある筈が無いでしょう!さんは僕からいつ手取り足取りナニ取り様々なことを教えてもらえるか、そして、いつ、僕から愛の告白をうけてどう返事しようか、と、うきうきのわくわくですよ!!」


すこーん!!


の持っていたトンファーが感電して骸の頭に当たった。
からん、と地面に落ちる寸前に雲雀が足で打ち上げ、トンファーはの手元に戻った。
骸は頭にあたった衝撃でのけぞったままだ。


「あ、すみません。何だか、すっごく、不愉快で。今すぐそこの害虫を抹殺したくて仕方無いんですけど、この衝動に身を任せて良いのかしら・・・。」
「僕も手伝うよ。」


と言ったとたん、骸が勢い良くをきらきらした目で見た。


さん、それは恋ですよ!!」
「「はぁ?」」


二人は呆れた目で骸を見た。


「僕のことが頭から離れなくていつでも考えてしまうんでしょう?もう、それは恋としか言い様がありません!安心して下さい、僕はいつでも貴方を受け入れる準備は出来ていますから!!」


さぁ、さぁ!と近寄って来る骸には瞬歩で近付くと脳天からトンファーを叩き付けた。
一瞬にして骸の意識は天国へと旅立ち、衝撃で崩れた床から転落。


どがーん、どがーん、どがーん、どがー・・・


どんどん遠くなって行く音に、骸が相当な地点まで天井と床を突き破って落下していったことがお分かりだろう。


「害虫駆除は完了ですね。」
「いや・・・」


雲雀は散らばったコンクリートの破片をじゃり、と踏みならしながら穴から下を覗き込んだ。


「あのナッポーの生命力はそれこそゴキブリ並みだから、安心はできないよ。」

突然響き渡った騒音と振動に何事かと同じ階にいたツナと山本、獄寺が走って来る音が聞こえて来る。


さん!雲雀さん!!今度は何をしたんですか!!!」


遠くから聞こえて来る声に雲雀は面倒くさそうに眉を寄せた。


「また説教ですね。」
「・・・面倒・・。」


おや、とは雲雀を見た。


「なら、逃げてしまいましょう。」
「?」


は雲雀をよいしょ、と抱えた。


「・・・・きみ、何やってるの。」
「何って逃げるんですよ。」


そう言った瞬間、雲雀は目の前の光景がブレるのを感じた。






「あれ・・?二人ともいない・・・って何これ!?」
「あっはは、豪快にやったな〜」
「笑い事じゃねぇだろ、野球バカ。」


ツナは後ろから「すみません、本当に」と頭を下げるベルを見た。


「ベルさん、さんたちって何処に・・・」
「多分さんが瞬歩を使って逃げたんだと思います。」
「あ、瞬歩ってあの瞬間移動するすげぇやつだろ?」


ってことは雲雀もその「瞬歩」ってやつを体験してんだよな。いいなー


と、暢気に言う山本をよそに、ツナとベルは深く溜め息をついた。







人の話を聞きやがれ






「あ、雲雀くん。この辺でおいしい飲み屋さんって無いんですか。」
「あぁ、そこにあるよ。」
「じゃぁ飲みましょう。」
「・・飲めるの?君。」
「失礼ですね。こう見えてもお酒は強いんですよ。飲み比べで負けたことは一度もありません。」


胸を張って言うが嘘に決まっている。
あれほど藍染に負かされつづけているのだから。


「へぇ・・・面白いね。悪いけど僕は負けない。」
「あら、そんな大口叩いてて良いんですか?」


そう言いながらも二人は飲み屋へと入って行った。



勿論、結果はの負け。
雲雀に送り届けられたを受け取ったベルは頭を下げまくったという。












拍手、ありがとうございます。糧です。
何だか、拍手お礼を書こうとするとギャグになってしまう気がするのは気のせいでしょうか。
キャラが壊れまくりな感じですが、楽しんで頂ければ幸いです。

ではではこれからも宜しくお願いします。



2009.02.11
久世 桂