注意:このお話はweb拍手連載、「拉致シリーズ」です。
1〜3話はmain→過去web拍手の部屋に置いてあります。
拉致シリーズ
「マチー!!!」
はマチの部屋に飛び込んで勢い良く扉を閉めて鍵を閉めた。
「また、あの変態は・・・」
溜め息をつくとマチは立ち上がって、扉の前にバリケードを置く。
そして念糸でしっかりと固定し、扉、壁、バリケードにしっかりと念を篭めた。
「マチ!ここにがいるのは分かっているんだ!さっさと開けろ!!」
「団長。悪いけどそれは出来無い相談だね。悪いけどどっか行ってもらえないかい。」
「ー!!良い子だから出て来なさい!!」
は大きく口を開いた。
「五月蝿い五月蝿い!このど変態ー!!!さっさとあのコスプレの服処分してきて!!!」
「コスプレ・・・?」
それを聞いたマチはまさか・・とを見る。
「団長。処分したら数時間後にはを返すからさっさとどうにかしてきな。このど変態。」
マチが追い打ちをかけるように虫けらを見るような目で言い(クロロに見えていないだけまだ彼にとっては救いかもしれない)、外からは
「えー、団長、そんな趣味だったんですか。そりゃぁちゃんも逃げますよ。」
というシズクの声が聞こえて来て、クロロは渋々と退散したようだ。
はほっと胸を撫で下ろす。
「大丈夫かい、。」
「うん・・でもほんとびっくりよ。起きたら部屋中に女王様コスチュームとかメイド服とか、ヒョウ柄のレオタードとか・・あぁぁ、思い出しただけで気持ち悪い・・・。」
「・・・・そこまであの変態がぶっ壊れてるなんて思わなかったよ・・・」
マチは慰めるようにの肩に手を置いた。
一方、処理を命じられたクロロとは言えば、大広間にいるシズクの元へ大量のコスプレ(中にはそうでないのも混じっているが)・・とりあえず、彼が欲望のままに買い集めた特注の服の数々を持って行った。
広間にいたノブナガ、フィンクスは目を丸くして、そしてシズク、パク、フェイタンは冷めた目でそれを見た。
「シズク。デメちゃんでこれを全部・・」
「嫌です。」
シズクは最後まで聞かずにどきっぱりと答えた。
「デメちゃんにこんな変なもの吸わせたくありません。汚らわしい。」
は?っておい、お前最後の方キャラ違くねぇ!?というクロロの突っ込みはスルーされる。
「おいおい、団長。んなもん集めてたらに愛想尽かされるぜ。」
「あぁ、そうだなァ。」
「ワタシたちの愛想も尽きるネ。」
フィンクスの言葉にノブナガがうんうんと頷き、フェイタンがさらりと酷いことを言う。
「ほんと、ったら気の毒だわ・・・。」
お母さん(パク)は娘()の不遇を嘆き
「あたしだったら瞬殺だね。こんなの持って来られたら。」
シズクは本当に嫌そうに、モザイクを脳内でかけている服の数々を見た。
「何?お前ら・・これは男のロマンだぞ。」
なぁ、フィンクス。と投げかけるが、フィンクスはぶんぶんと首を横に振った。
「・・・・・ノブナガ。」
同じくノブナガもぶんぶんと首を横に振る。
「とりあえず、コレ、どっかに捨てて来ないとちゃんマチの部屋から出て来ないと思いますよ。」
「私も全力で出さない様にするわね。」
「あ、私も手伝う。」
女性陣は結託し、男性陣は触らぬ神に何とやら。
ここで女性側につけば(既にもう遅い気がするが)クロロからの制裁が待っているし、かといってクロロ側につけば女性陣からの冷たい視線が待っている。
「あ、俺用事思い出した。」
「俺もだ。」
フィンクスとノブナガはそう言って立ち上がり、
「ワタシも拷問が残てる。」
フェイタンもそそくさと立ち去った。
しかし、その入れ替わりにシャルが入って来て、クロロは目を輝かせた。
「シャル!」
「ふぁぁ・・何、団長。」
こいこい、とクロロが手招きするとシャルは渋々といった様子で近付いて来たが、クロロの指差した先の服の山を見て顔を輝かせた。
クロロはにやりと笑う。
「うーわー団長!これ新作じゃん!何何、ちゃんに着せるの?それだったら俺是非手伝って・・・」
と言いかけたところで、それはもう、ここブリザード吹き荒れてません?てな勢いで包み込む冷気と冷たい視線に固まった。
今にも白い息が出てきそうだ。
「へぇ〜、シャルってその変態と一緒だったんだ。」
「びっくりよね。ほんと、気色悪いことこの上ないわ。」
雰囲気を敏感(いや、鈍感でも感じ取れるだろうが)に感じ取ったシャルは何か弁明しようと口を開くが、それはクロロに遮られる。
「分かったか。これが男のロマンというヤツだ。」
どどーん、と偉そうに言うが、女性陣の反応は冷め切っている。
「な、なぁ、シャル!!」
そこで助けを求められても勘弁してくれよ、って感じだが、シャルはぐっと握りこぶしを作った。
その様子は、まるでなりたての勇者が百戦錬磨の魔王(レベル99)にレベル2で立ち向かう姿に似ていたとQさんは後に語る。
「そう、そうだよ!中でも・・・」
そこで言葉を切るとシャルは服の山から一枚の服を引っ張り出した。
「お薦めはコレだよ!女王様の風格を失わない程度にレザーの素材を使っていて、でも、この胸元には可愛らしさをアピールする控えめなフリル!分かるかい、この良さが!!これは今までマンネリ化していた女王様コスプレに一石を投じるような、まるで超新星が現れたような感動を僕らに与えてくれたんだ!!」
「そうだ。それは俺も気に入っている。」
クロロは偉そうに言うと、己も一枚の服を山から引っ張り出した。
「だが、これも捨て難い。」
見よ、これを!と掲げられたのは水着のような形をしているが、表面はヒョウ柄で、しかも材質も最高級ときた。
「ちゃんと耳としっぽもある。」
しっかりと誇らしげに見せるが、女性陣のテンションはだだ下がりだ。
「女豹のようなオーラを醸し出しつつも、耳、しっぽ、更にこの首輪を装着させることによって、可愛らしさを演出。これですり寄ってこられた日には俺は・・・俺は・・・」
「流石団長!やっぱりポイントは微かに覗く可愛らしさだよね!!」
「シャル、お前、出来るな。」
クロロがふっと笑い、シャルがぐっと親指を出して、いかにもやってやったぜ的な雰囲気を醸し出そうとしていた所(しかし、その雰囲気はシャルとクロロの半径30cm以内くらいなもので、それ以外は吹雪が吹き荒れている)に広間の扉が開いた。
ん?とクロロが扉を見た瞬間、文字通り硬直した。
「さっきから聞いてれば・・・」
「、さっき言ったとおりやるんだよ。」
「うん。」
力強く頷くとつかつかとはクロロに近寄った。
「・・・あ、いや、その違う。これには海よりも深い訳が・・」
言い訳をしようとわたわたとし始めると、は今までの不機嫌そうな表情を一転させてにっこりと微笑んだ。
それにクロロはぱぁ、と顔を明るくし・・・かけた時
「ごふっ!!」
の拳が鳩尾に入り、後方の壁まで飛んで行って壁にめり込んだ。
あれ、ちゃんって一般人だったよね。あれ?あれ?
とぽかーんと口を開けていた(手にはしっかり先ほど力説していた女王様コスチュームが握られている)シャルは首に鈍い痛みを感じた。
はクロロの鳩尾に拳を入れると左足に重心をかけて身体をいったん低くすると瞬時に右足を軸足に一回転し、左足をシャルの首の根元に命中させたのだ。
「へぶゥっ!!」
シャルはクロロのすぐ横に激突し、意識を失った。
ふん、とはぐったりとしている二人を一瞥する。
こそこそと窓の外から事の成り行きを見守っていたフィンクスとノブナガから「「おー!すげぇ!!」」という声と拍手。
マチはの頭に手を乗っけて撫でた。
「やれば出来るじゃないかい。」
「ほんと、なんだかすっきりしたわ。」
「恰好良かったよ、ちゃん。」
皆から賞賛を受けては照れたように笑った。
儚き君は僕の願いをきいてくれるだろうか
きく訳ないでしょ!ど変態!!
拍手、ありがとうございます。糧です。
どんどん、凄まじい変態の道へと進み始めているクロロですが・・・すみません(汗)
これからもこそこそとこのお話は更新していこうと思っていますので、宜しくお願いします。
2009.02.11
久世 桂